学級経営 Tips

学級経営mini tips 学級経営Tips

2025年3月に投稿したものです。多くの方にお読みいただいているので、再掲載します。

【MENU】


第1回 ★超簡単な名前の覚え方★

 新学期、なかなか名前を覚えられない子がいるときに、役立つかもしれない方法です。
 知人の著作、宇都出雅巳「仕事のミスが絶対なくなる頭の使い方」p.65にある方法です。.
 該当箇所を引用します。
「・・・それは意図的に相手の名前を会話の中で使うことです。
たとえば初めての商談の席で・・・・・・
・『(名刺を見ながら)齋藤部長さんですね。どうぞ宜しくお願いいたします』
・『ほう、それは勉強になります。齋藤部長は生産畑が長いんですか?』
・『〜ということになります。齋藤部長、何かご質問はございませんか?』
・『齋藤部長、本日はお忙しい中ありがとうございました』

 やたらと名前で呼び合う欧米と違って、日本では相手の名前を呼ばなくても会話が成立してしまいます。文章にするとしつこいと感じるかもしれませんが、実際の会話の中で言われると別に違和感はないはずですし、名前を呼ばれて嫌な気分になる人はいません。
 はじめて出会ったときに、いかに繰り返し名前を呼べるかが覚えるポイントです。」

 場面が学校なら、その子に
・名前を呼んでお手伝いを頼む。
・名前を呼んで何かを確認する。
・名前を呼んでほめる。
など、短時間のうちに繰り返し名前を呼ぶようにして記憶するわけです。
 良かったら、お試しください。

(秦)


第2回 ★適切な叱り方★

まずは、前提になる知識です。「褒める」にしても「𠮟る」にしても、人間関係の土台が相手と作れていなければ効果は薄いということです。

私たちそうですが、嫌いだな、苦手だなと思っている人から褒められても嬉しくなかったり違和感を感じたり、逆に叱られたら「あなたに言われたくない」と思ったりした人もいるのではないでしょうか?

「褒める」も「叱る」も人間関係が構築されていなければ、効果が薄くなったり、時には逆効果になり火に油祖注ぐ結果となってしまうことを頭の片隅にでもいいので覚えていてほしいです。

さて、「適切な叱り方」には、「守るべき原則」と「タブー」があります。

「守るべき原則」
①その場で叱る
記憶というのは、時間がたてばたつほどあいまいになっていきます。行為が起きた時、つまり記憶が新しいうちに叱った方が効果が高くなるということです。

②いつも同じ基準で叱る
教員の都合で、叱ったり叱らなかったりとその場しのぎの叱り方をしていると、「叱る」ことの価値が下がっていきます。

③具体で叱る
「しっかりやりなさい」「ちゃんとしなさい」という抽象的な言葉を使いがちですが、子ども達の中で「しっかり」や「ちゃんと」の意味がわかっていなければ、ただの言葉遊びになってしまします。何を叱っているのかを明確に伝えることが大切なのです。

「タブーな叱り方」
①他者と比較する叱り方
「○○ちゃんはしっかりやっているのに」「班で出来ていないのはあなたたけ」などどいった叱り方をすると、叱られた子は著しくモチベーションが下がります。時には、できている子に恨みをもったり悪意をもったりすることもあり学級経営上マイナスにしかなりません。

②人格を否定する叱り方
「お前は馬鹿だ」「何をやってもだめだな」などと人格を否定しても、行動は絶対に改まることはありません。そして、子ども達の心がただただ離れていくだけです。

③疑問形での叱り方
「なんでできないの?」「なんで分からないの?」と叱る場面を見かけますが、それが分からなかったり、気づけていないからできないことが多いのです。また、能力的に到達できていないからできないというのも考えられます。この場合は、支援方法を共に考えていってあげる方が改善の近道になります。

④くどくどしつこい叱り方
これは、野中先生の著書、講座でも良く触れられていると思います。叱り始めると止まらない教員を見たことがある人もいるのではないでしょうか?このような叱り方をしている人は。叱ることに酔っているだけなのです。叱るは「夕立のごとく」、短くあっさりとでいいのです。

以上のことを気をつけながら、子ども達と良い関係を築いていってください。最後になりますが、叱った後のフォローを忘れずに。
読んでいただきありがとうございました。

(水谷)


第3回 ★定時に仕事を終わらせるための一工夫★

定時に仕事を終わらせるために、効果があった一工夫。
それは、★ジョブリストを作らない★ということです。
職場でよく見かけるのは、付箋などにやるべきことを書いて貼っておき忘れないようにするという方法です。
これも悪くはないのですが、付箋に書く時間がもったいない。
そこで、私が考えたのが、「とにかく仕事が来たらすぐに手をつける」というものです。最近の仕事の多くはPCを使います。
それを活用し、とにかく仕事が来たらそのファイルを作ってデスクトップなどに保存しておきます。
本当に忙しい時は、タイトルとファイル名だけをつけて保存するだけでもOKです。仕事が終わったら、完成フォルダに入れるもよし、分類して、しかるべきところに入れたり、戻したりするのもよいと思います。
とにかく、すぐに手をつけ、ファイルというカタチにしてしまうわけです。
少し前までは、仕事は並行処理するのがよいとされた時期もありますが、最近は、同時に複数の仕事を並行して進めると、効率が上がらないこともわかって来ました。
その点、パソコンファイルはいつでも途中でやめられるので便利です。Aファイルの仕事が6割できたところで、集中力が切れたら保存して、Bファイルの仕事に集中するなどということは簡単にできます。
また、いわゆるスキマ時間と呼ばれるような短時間でも仕事を遂行することは可能です。
小刻みに仕事を進めて行けば、いつかは終わるわけです。昨年度までのファイルがある場合は、修正すればよいので、修正したところを赤文字にしておきます。仕事を終えチェックが終わったら,一気に黒文字に直し、完了とします。 
テスト等の丸つけも同様です。とにかく、早く終わった子の分から授業時間内に丸つけをします。
丸つけをしながらテストの監督もします。たとえ全員分の丸つけが終わらなくても、7割がたでも終われば、後は3割になります。5分休みや給食時間にその3割をやり終えれば、放課後の作業はなくなります。
★仕事にはすぐに手をつける
この考え方で、私は定時までに多くの仕事を終わらせて来ました。
(秦)


第4回 ★「認知の歪みを正常化しよう!」★

精神科医の野田俊作先生は、「クラスはよみがえる」という本の中で、
『あなたのクラスのすべての子供は、「クラスの中に自分の居場所を確保する」ことを目標にして行動しています。適切な行動も不適切な行動も、究極的にはクラスへの所属を目標にして行われています。』と書いています。

行動には必ず意味があります。クラスで騒ぐ、悪口を言うなどの一見不合理な行動でも、クラスで目立ちたかったり、人間関係で優位に立ちたかったりとその子なりの意味がが存在しているのです。
クラスで騒ぐ、悪口を言うといった問題と言われる行動には、必ず認知の歪みが介在しています。
認知の歪みという言葉を、一言で説明すると、『考え方の癖にとらわれて物事を解釈し、他の解釈をすることが難しくなっている状態のこと』です。

この認知の歪みを正常に持っていくことが問題と言われている行動の消失へのヒントとなるでしょう。

認知の歪みを正常に持っていくには、自分の認知の歪みに気づき、修正しなくてはいけません。これを心理学用語で「認知再構成」といいますが、「認知再構成」は、他者から「正しなさい」と言われたり、「君のそういうところがいけないんだ」と指摘されたりしても効果はありません。たいてい「うるせーよ」で終わります。また、発達障害や知的障害で、さらに認知の歪みもあるといった場合には、自分自身を客観視することが非常に難しく、周囲との受け止め方の違いや自分自身の思い込みを認識することは困難を極めます。

では、どうしたらいいのでしょうか?
まずは「そのように感じたんだね」「そんなように受け止めたんだね」と、その子なりの受け止め方に焦点を当てて共感することをオススメします。そのうえで、行動については「別の選択肢もあるのではないか」と粘り強く提案していくといいでしょう。
これは、野中先生のご著書である「やんちゃな子がいるクラスのまとめかた」で提案されている『包み込み話法』の手法に似ていると思います。
「自分とは異なる感じ方、考え方が存在すること」や、「相手は別の受け止め方をしていること」に気がついていけるようにしていくことが、認知の歪みを認知再構成していく近道となります。
そして、最終的に「自分で気がつき」、「自分の手」で行動を消失させたり、修正したりできるようにすることが本人の成長となるのです。

読んでいただきありがとうございました。

(水谷)


第5回 ★意見を言える子が少ないのですが・・・

初任者だけでなく、経験者からもよく伺うことです。
「うちのクラスの子は授業中手をあげて意見を言う子が少なくて」
というような悩みです。
個人的には、コロナ禍の影響で、少しそのような状況が
増えたようにも感じています。
では、どうすればよいのか、私は初任者にまず、
・呼名時に(手を上げて)はっきりと返事をする。
・挨拶がきちんとできる。
というようなことを大切にしようと話しています。
ただし、「クラス全員ができる」を徹底することが重要だと考えています。
意見を言うは、子供によってはかなりの抵抗感を持つ子もいます。
だから、まず簡単な意思表示から始めるわけです。
もちろん大切なのは教師の「確認」と「フォロー」です。
全員ができることを「確認」する。
そして、全員に「フォローの言葉」かけをすることです。
授業中にわからないとき、「わかりません」とはっきり言えることも
大切な意思表示の一つかもしれません。
全員の発言力を高めるためにも、特定の子ばかりをあてる
挙手指名は極力避け、全員に機会を保障する「列指名」を
効果的に使用することも大切だと考えます。
全員を順にあて、発言することがあたり前になってしまえば、
クラスの雰囲気は一変します。特定の子ばかりをあてると、結果的に
ただ聞くだけの傍観者を生み出すことになりかねません。
「あてないで」などという子さえ出てきます。
自信を持てない子には、教師がとにかく励ますことです。
「これ、素晴らしい考えだから、自信をもって言ってね」と予め耳元でささやく
くらいのことはしたいものです。
書くことが苦手でない子には、「すらすら意見を言わなくても大丈夫。
ノートに書いたものを読めばいいんだよ」と、メモを読み上げることから
始めさせるのもよいかもしれません。
(秦)


回 ★「学級の心理は、教員の心理そのもの」★

学級というのは、不思議なもの、教員が、寛容であれば子ども達も寛容になっていきます。また、ガミガミ叱るようであれば、子ども達同士でガミガミ指摘し合うようになっていきます。良くも悪くも教員の状態が学級に反映されてしまいます。

5月は、「運動会」が予定されている学校も多いと思います。「応援団担当」「リレー担当」などをしている教員は余裕がなくなっていってしまいまます。思うように学習が進まずに焦ることもあると思います。時には、子ども達が上達しない、作業が遅い、練習が身に入っていないなど、上手くいかないことでイライラしてしまうことがあるでしょう。

しかし、実はそこが大きな落とし穴なのです。この状態でこなすと、運動会後の6月にクラスが落ち着かなくなり、大爆発を起こしてしまいます。無理をした反動は必ずやってくるのです。教員の心理状態は、隠していても必ず子ども達に伝わります。辛い時こそ、上手くいかない時こそ、教員は、浮き足立ってはいけません。心は熱く、頭はクールに。子ども達も、辛い時、上手くいかない時の教員の振る舞いを見ています。

そんな時こそ、大人の度量を子ども達に見せつけてやりましょう。きっと中間層の子達を取り込めるきっかけとなると思います。

読んでいただきありがとうございました。

(水谷)


第7回 ★「健康観察」で姿勢をセルフチェックさせる★

健康観察には教師の側からみた様々な目的があります。
「小学校」「健康観察」「目的」でウェブ検索すると必要な情報が得られます。
その中の一つが、「自己管理能力の育成を図る」というものです。

そこで、朝の健康観察を子供自身が自他の「姿勢」を点検する場にしてみよう
という取り組みです。
(1)身体の姿勢を自己点検させる→足→手→腰(立てる)などを自己点検する
(2)学びに向かう姿勢を自己点検させる→良い姿勢のまま最後まで友達の返事等を聴く

例えば低学年では、毎日呼名して点検させます。
最初は
・「机上整理」→机の上のものを一旦全部しまう。
・「姿勢!」→号令をかける。
次の日からは、日直が「健康観察、先生お願いします」といった時点でこの二つができている
子をほめる。→「昨日は先生が号令をかけました。今日は言われなくても●●さん、できていましたよ。素晴らしい」「●班は全員、すっきりと片付けられていていい」・・・

姿勢が整ったら呼名を始める(素早くテンポよくする)。
・児童は名前を呼ばれたら手を挙げ、「はい、元気です」など返事をする。
・担任は、「いいね」「気持ちが伝わってきました」など素早くフォローする。
・「いい姿勢」「手がぴんと伸びていましたよ」「身体がまっすぐになっている」「足がいい」などと姿勢についてもほめる。
・担任は、できるかぎり「アイコンタクト」を個別にとる。目で一人一人とつながる。
・担任は、返事をしている子だけでなく、ときどき周辺の子の聴く姿勢をほめる。「●●さんの聴き方すばらしい」などと名前を挙げるのもよい。
・呼名中、すぐにしゃべり出す子がいたら、「割り込まない!大切な健康観察!」ときっぱりと全体に注意する。その後、おしゃべりが止んだら即座に再開する。一貫して担任は健康観察を全員で真剣にするという姿勢をみせる。
※実際私は複数の教え子を交通事故等でなくしています。明日、このメンバーが全員揃うという保障はどこにもありません。だから今日の呼名(健康観察)を大切するという気構えで臨みます。
・応用として、朝の会終了後には、言われなくても1校時の予定をみて「教科書・ノート・筆箱」を定位置に出し準備できるようにするのもよい。→時間割りを書いて終わりにするのではなく、それをみて行動(準備)できるまで確認・フォローを続ける。
◎健康観察は、スピーディーに短時間で行う必要があります。視点を少しずらすと、それは「指示→確認→フォロー」に慣れるトレーニングの場という見方もできます。毎日できる練習の場でもあるわけです。
◎高学年では、出欠席を
・班ごとに確認する
・隣同士確認する
などさせることも多いように思います。
いずれにしても「確認」「フォロー」を忘れないようにしたいものです。
◎担任以外の先生に授業に入ってもらう場合は、「全員います」「欠席は●と●の2名です」などのように出欠席状況を忘れずに伝えるとよいでしょう。

<実際の場面であったこと>
ある子の番になったとき、
その子は元気よく挙手し、返事をした
が、初任者は「足!」と注意した。
言われた子は即座に(姿勢を)直し、担任はすぐに「いいね」とほめた。
初任の先生だが、足もよく見ていたことに、私は感心した。

ある子の番では、
昨日まで少し長く欠席していた子に、担任は
「今日は来られて良かったね」と優しい口調で声かけした。
そんな様子をみていたまわりの子からは、
自然と小さな拍手が起きた。
拍手は次第に大きくなり、全員がいつしか拍手をしてた。
拍手を受けた子は嬉しそうだった。私も嬉しかった。
(秦)


回 ★「技術と指導力」★

「クラスが荒れているのは教員の指導力不足のせいである。」と言う人が多くいます。

実際にベテランの教員が、初任者や若手の教員に対して助言や説教している場面を見るとたびたび指導力不足と言う言葉が垣間見えます。私は、その言葉を聞くたびに、「それは乱暴な言い方だな」と感じてしまうのです。

指導力不足と言うのは何を持って指導力不足と言うのでしょうか?授業力なのでしょうか?人間性なのでしょうか?それともその人が持っている雰囲気なんでしょうか?

ベテランの中にも、授業が壊滅的にひどい人がいたり、人間性的にどうしようもない人もいます。また、若手の中には、子どもが「話を聞かなくちゃいけないな」と思わせることのできる人もいます。指導力不足と言うのは、若手だから多い、ベテランだから少ないというものでもないのです。

私は、この問題は、指導力不足という言葉で片付けられるべきではないと考えています。これらの問題の根幹は、伝え方の技術不足と見る方がしっくりくるのです。

課題のある同僚のクラスに入ってみると、伝えようとはしているんだけど、あんまり伝わってないなっていうことが見受けられます。

また、たくさんいろんなことを言いすぎて子供たちが訳が分からなくなってしまっているケースも存在しています。

だから、私は、教員の伝える力つまりデリバリーの能力を向上させることが、これからは教員として生き残って行ける重要なファクターなのではないかと強く感じています。

例えば、子どもたち一人一人が、教員に眼差しを向けてから話し始める。また、早口にならないようにゆっくり丁寧に話す。一指示一行動にする。
このような少しの工夫で、課題や問題は改善されます。

学級が落ち着く、落ち着かないの分かれ目は、教員の伝え方です。

学級が落ち着かないと感じたならば、自分の伝え方を見つめてみることが、安定させる近道になりえるのです。

ぜひ自分の授業、何気ない話などを録音して聞いてみるのはいかがでしょうか?

きっと新たな発見が、見えるはずです。

読んでいただきありがとうございました。

(水谷)


第9回 ★音読の重要性★

音読は重要です。
なぜか。
その理由の一つが、黙読だけでは、子供が本当に読めているかを教師が確認できないからです。
4年生の授業で実際にあったことです。
社会で「市町村」を音読する際、その直前で子供たちの全員音読は止まりました。
何と読んでよいのか、戸惑ったわけです。
「市」も「町」も「村」も習っているのに、「市町村」になった途端、どう読めばよいか
わからなくなったのかもしれません。
一斉音読させ、確認をしながら授業を進めたので、これに気づくことができました。
音読を黙読につなげるためにも、つぎのようなことは点検する必要があるのでしょう。
・すらすらと(指でたどらなくても)字面を読めるか。
・意味のまとまりで正しく区切って読めるか。
・語句を誤読していないか。
もちろん、読みのテスト等で確認することはできます。
しかし、実際の文章には文脈があり、取り出した一文だけでは意味理解がしずらいということがあるのです。
もう一つの理由は、自力で読む力をつける必要があるからです。
その入り口が音読です。
これまでの初任者指導の経験から、多くの先生が、
算数「今日の問題(例題)」を1回しか音読させないことがわかっています。
担任の先生は、一度読めば十分かもしれませんが。
多くの子供たちにとっては、初読である可能性も高いわけです。
まして、読むのが苦手な子にとっては、字面を追うだけでも精いっぱいかもしれません。
そのような子供の気持ちを想像しながら、音読を捉え直してみてはいかがでしょうか。
実際にあったある6年生の子の話です。
「文章題が苦手」だというので、担任の先生は問題を音読させてみました。
すると、しばしば読みが止まってしまったのです。
そこで、小さくふりがなをふってやると、読めるようになり、立式・計算もできました。
そもそも問題が読めていなかったのです。
音読を宿題ばかりにすることは避け、学校でこそそれに繰り返し取り組んでみてはいかがでしょうか。
(秦)


第10回 ★「学校の中の認知バイアスその1 ハロー効果」★

物事を見て、理解し、判断する心の動きを「認知」と呼びます。私たちは、頭で考えるたびに、脳の神経ネットワークでは、無数の神経細胞が活動しています。特に深く考えている時や、意志の決定をするときには脳の作業量はより大きくなり手間も時間もかかります。

そのため人は脳の意識に頼って物事を、瞬間的に判断します。その結果生じる認知の歪みを「認知バイアス」と呼ばれています。

認知バイアスは、様々な現場で絶えず、いつも生じています。学校現場でも例外ではありません。

そこで、今回は、学校の中の認知バイアス第一弾として「ハロー効果」というのを、お伝えしたいと思います。

ハロー効果は、どこか優れている(劣っている)点を見つけると、その他においても優れている(劣っている)と考えがちになる現象【認知バイアス辞典 情報文化研究所 著 より引用】のことです。

例えば、字がきれいだと作文の評価に良い影響を与えたり、足が速いと他の体育の学習の評価がプラスになったりと他の部分もよく見えてしまいがちになります。

このバイアスは、逆もしかりで劣っていることや悪いことにも作用するので注意が必要です。
人間は推測する生き物です。この推測が、ハロー効果を生じさせているとも言えます。

こういったことを知っておくことで、自分の認知の偏りを解消し、客観的な視点で事にあたれると思います。

読んでいただいてありがとうございました。
(水谷)


第11回 ★返事★

初任者指導を担当していて気付いたことがあります。
それは、呼名をした際に、(初任者は子供に)返事をさせないことが多いということです。
そこで、例えば「朝の健康観察時には呼名したら必ず(手をあげて)返事をさせよう」と初任者に伝えます。
しばらくすると、その初任者は「ほぼ全員に」返事をさせることができるようになります。

しかし、その場面では返事をさせても、場面が変わると返事をさせないことがよくあります。
私はそれに気付きました。
例えば、
・授業中に名前を呼んで指名した時
・テストの返却時
・集金袋を呼名して渡す時
などなど場面が変わると返事をさせることを忘れてしまうようです。
「経験者はどうだろうか」と、複数の学校をまわって実際を見てみました。
やはり、同様のことは程度の差が多少あるにしろ、起こっていました。
経験を積んだから常に本来必要な場面で返事をさせているとは限らないようです。

宮内主斗「子どもが伸びる5つの原則〜特別支援教育の時間軸を使って〜」(さくら社)につぎのような記述がありました。宮内先生は、「4月にまず指導することは何か」と問うた上で、「まずは返事から」と述べられています。
「・・・このように、名前を呼んだ時には、例外なく返事をさせるようにします。例外なくというのが大切です。させたりさせなかったりすると、定着しません。出席を取る時以外にも、テストを返す時など、いつでも名前を呼んだら返事をするようにしていきましょう。・・・」
私が気付いたことに、宮内先生はすでに気付かれていました。
なぜ、返事が重要なのか、もっと詳細に検討されています。また、この先のことについても書かれています。興味のある方は、是非、前掲書をお読みください。

・返事をさせることを忘れてしまう。

実は、ここには大きな課題が潜んでいるように感じます。
そのことを「一貫したルール」として教師が捉えているかという課題です。
「教室を離れる時、椅子をきちんと収納する」等も同様です。
教師がそれを「一貫したルール」と捉えていれば、状況が変わっても対応できます。
全員ができるまで、その都度ルールを子供に守らせようとするはずだからです。
一貫したルールが崩れると、子供はそれを「してもしなくてもいいんだ」と誤学習してしまう可能性が生じるのです。

(秦)


12回  ★「席替えも一つの支援方法」★

席替えをクジでやったり、子どもたちに決めさせたりしている先生方は多いと思います。何か目的や狙いがあるならそういった決め方にも価値がありますが、なんとなくといった形で、やっていたならばすごくもったいないことだと思います。

私は席替えこそ、教員の専権事項だと思っているのでめったなことで、クジや子どもたちに決めさせる事はしません。
何故かと言うと、席替えも立派な学習支援になり得るし、特別支援的な観点からもすごく重要だからです。
そこで私が経験から感じた、座席の配慮について、簡単にではありますがまとめてみようと思います。どうぞお付き合いください。

①窓側前列
ここは、問題行動を起こす子どもを配置するにはもってこいの場所。離席しにくく教室を出にくいです。ここに配置するのは、集中できにくい児童、多動で他の子を巻き込んでしまう児童が適しています。窓側が教室の左側にある場合には、左利き児童にとって板書しやすい場所にもなり得えます。日本の学校は、たいては右ききのインフラ整備がされており、左利き児童が板書をとる場合は暗くなりがち、窓のそばの方が、光が当たりやすくなります。
弱点は、担任の導線が悪いので低学力の子の個別支援には不向きというところです。

②教壇前列
ここは、担任の個別支援が最も受けやすい場所です。授業開始の準備、提出物の用意に時間がかかり、学習が遅れがちな児童向けの場所になります。目が行き届きやすく、注意喚起しやすいというメリットもあります。目に付きやすいので、立ち歩きがなく他の子の邪魔にならないタイプの児童を配置すると良いと考えられます。他の配慮児童と隣になる可能性も高いので相互にモデルになりにくいのが弱点といえます。

③廊下側前列
出口近くで集中しにくい。刺激に対して比較的耐性の高い児童向けの場所であります。

④窓側後列
お客さんの立場になりやすいです。しかし比較的広いスペースがあるので、整理整頓に課題のある児童向けの場所と言えます。

⑤教室中央
周りの情報が得やすいので、行動が比較的おとなしめで、周りへの影響が少ない児童が適しています。周りの児童から支援が得やすいので、学習の理解に課題があり、時間がかかるような児童が適しています。板書が見えやすいのもメリット。

⑥廊下側後列
前方児童の学習の態度や動きがモデルとして生かしやすいです。いろいろなものが見えても反応することがない視覚刺激への耐性が強いタイプ向きの場所でもあります。離席や教室外に出る児童が他の児童に影響が与えることが少ない場所でもあります。しかし、担任の目が届きにくいと言うところがデメリット。

席替えも、ただ気分転換で行うのではなく、攻めの特別支援の1つとしてぜひ使ってほしいです。
読んでいただきありがとうございました。

(水谷)


第13回 ★忘れ物を考える★

 子供たちが忘れ物をしなくなるまで、教職に就いてから30年以上の時が経っていました。なぜ、子供たちが忘れ物をするのかを私自身が理解しきっていなかったからです。
 まず、基本の知識として、
 ●脳は忘れやすくできている 
ということがあると思います。
 一例をあげます。毎日見慣れた風景であっても、突然街角の建物がなくなったりすると、
「あれ、どんな建物だったっけ」
というようなことはよくあるということです。
 これは、脳が膨大な情報を整理し、不要な情報(記憶)を捨て去るためです。
 そして、もう一つ重要なことがあります。それは、忘れ物をしないためにはアタマで覚えていただけでは駄目だということです。実際に、手を動かしてランドセルに教科書やノートを入れるという行動ができて初めて準備完了となるわけです。つまり、忘れ物をしないためには、アタマとカラダをセットで考える必要があるということです。
 では、どうすればよいのでしょうか。
 それは、体を動かすための環境刺激が重要だということです。意識ではなく、注意を呼び覚ます必要があるわけです。意識の前に「注意あり」です。
 例えば、午後8時になると目覚まし時計が鳴って注意喚起するというようなことです。連絡帳に書いただけでは、注意喚起が働かず連絡帳を見るのを忘れてしまうことになりかねないわけです。何度言っても忘れ物をしてしまう子には、「また忘れたの」ということは逆効果です。それよりは、あたり前のように持ってきているときにこそほめるべきなのです。その際は、その子の注意喚起がうまくいっているわけですから。
 さて、忘れ物のように「心」に関連する問題を考える時に、役に立つのが実は
★プログラミング的思考
だと言ったら、驚かれるでしょうか。
 よく考えるとテストで間違うことも、忘れ物もある種の「ミス」だと言えます。記憶違いということもあるでしょうし、覚えたそのこと自体に誤りがある場合もあります。どうすればミスを減らせるかという視点から考えると、まさにそれらはプログラミングの、「エラー」にあたるわけです。
 ということは、何らかのカタチでエラーを防ぐプログラムを考えておけば、問題は解決に向かうはずなのです。
・エラーを起こさない環境づくり 
  →教科書・ノートはいつも同じ場所に置く。
・エラーに気づくしかけづくり  
  →タイマーでその行動を起こす時刻を知らせてくれる。
  →連絡帳の表紙に、黄色の大きな付箋をはっておく。
・エラーをしなかった時のフィードバック強化
  → あたりまえにできている時にほめる。
 いかがでしょうか。
(秦)


14回  ★「発達障害と睡眠の関係」★

みなさんは、睡眠とれていますか?

睡眠は、身体の修復、記憶の統合、感情の統制、脳のデトックスと人間にはなくてはならないものです。私は、睡眠が足りていない日は、仕事のパフォーマンスも悪くなるので、ここ五年ぐらいは、どんなに忙しくても、8時間は睡眠時間を確保し、体の状態を常にキープしています。

では、人間の適正な睡眠時間はどのぐらいなのでしょう?
睡眠研究で有名な「アメリカ睡眠財団」が推奨している睡眠時間は、6~13歳では「9~11時間」、14歳~17歳では「8~9時間」、18歳~64歳では「7~9時間」とされています。

日本は、世界の中でもトップクラスに睡眠時間が足りていない国で有名です。また、50年間で、日本人の睡眠時間は約1時間短くなったという報告もあります。
とにかく、日本人は、睡眠時間が世界と比べてより短い中、活動を行っているということは事実です。

さて、子ども達の中にも、寝不足気味で学校にくる子もいます。
スマートフォン、ゲーム機の影響で、夜更・寝不足という子達もいますが、中には「発達障害」のせいで寝不足になっているというケースもあるのです。

私はかつて、療育の研究所でインターンをした時に、
「発達障害の子、特に、ASD、ADHDの子達の一部には、睡眠障害(入眠障害、覚醒障害)などをもっている子がいる」ということを知りました。

療育の研究所で良く行われていたのが、「睡眠指導」でした。睡眠の改善で、問題行動が消失するケースが少なくないからです。

クラスでの問題行動が多いお子さんには、発達障害を抱えているケースも存在します。行動にアプローチをして改善できない場合は、「睡眠」を改善させてみるのはいかがでしょうか?

「睡眠」の改善が、意外と解決の近道になるかもしれません。

読んでいただきありがとうございました。
(水谷)


第15回 ★「小刻み授業準備」のススメ!★

「教材研究ためのまとまった時間がとれない」
そのような悩みを多くの先生から伺うようになりました。
そこで、具体的な解決策を示します。

①教材研究を授業準備と言い換える。
②対象を児童用教科書に限定する。
③10分弱の時間で小刻みに行動する。

①教材研究を授業準備と言い換える
 「まとまった研究をしっかりしよう」などという、大きな目標を捨て、「日々の授業準備=教材研究」と捉えると少しは楽になります。
後は、そのための段取りをどうするのかを考えればよいわけです。
最大のヒントは「ひき算」です。
「たし算」発想では、すべきことが増えるばかりです。
大胆に捨てる発想こそ必要なのです。

②対象を児童用教科書に限定する
例えば、算数教科書の情報は、1ページに凝縮されています。
その凝縮された情報について、教科書用指導書や赤刷りなどを読むと、それらの執筆者の解釈が入り込むことになります。
児童用教科書そのものを読むのではなく、解釈や解説に注意が向くわけです。
結果的にオリジナルなソースである児童用教科書を真剣に読まなくなる、読めなくなる可能性があります。

例えば、ある算数教科書には130を10をもとにして考えさせるために、つぎのような図(数値も含め一部簡略化してあります)があります。

⑩円玉を並べた図です。

〔⑩⑩⑩⑩⑩ ⑩⑩⑩⑩⑩〕〔 ⑩ ⑩ ⑩ 〕

この図を、先生自身が音読してみてください。
読めれば図の意味が理解できたといえるかもしれません。
例えば、私ならつぎのように音読します。
・10円が5枚で50円
 ※だまっていると10円,20円,・・・と数える子も多い(かも)。
・50円と50円で100円 
 ※わずかなスキマに注意!
 ※5枚ずつのかたまりとバラ3枚で表示してあるのが、「しかけ」
・100円と10円がばら3枚で30円
・全部あわせて130円
・130円は10円が13枚
・10をもとにすると13で130になる。→ここは読まずに気付かせたい。
子供と一緒に図を読めば、子供は「ああ」と気付きます。
10をもとにして考えるの意味を理解します。
教科書に載っていることは、★絵図等も含めて全部読むのが出発点です。

③10分弱の時間で小刻みに行動する
「一教科あたり10分で教科書を読む」
そのような心構えで集中します。
10分集中したら一息ついて、まだ10分とします。
それでも明日が6時間授業なら6回の集中が求められます。
連続60分の集中は厳しいので、小刻みに少しずつ
児童用教科書を読み込むわけです。
問題は、その10分をいつ・どこで生み出すかです。
私は、極力勤務時間内に生み出すことをお勧めします。
例えば、
・出勤したらすぐに10分
・子供を帰したらすぐに10分
・退勤前に10分
のようにいわゆるスキマ時間をみつけては取り組みます。
大切なことは児童用教科書を常に傍に置くことです。
スマホを見る時間があるのなら、それを教科書に置きかえます(笑)。
最初は10分を要することでも、続ければ必ず時間は縮まります。
私の経験では慣れれば5分で読めるようになります。
教材研究は(したければ)時間がたっぷりある長期休業中に!
普段は、1教科5分でできる授業準備=教科書を読むに!
(秦)


16回  ★「学校の中の認知バイアス その2 内集団バイアス」★

人は、自分が所属している集団(内集団)やその集団のメンバーのことをそうでない集団(外集団)やそのメンバーよりも、好意的に評価し、ひいきをする傾向があることがわかっています。

この現象は、内集団バイアスと呼ばれます。
 
同じ「集団」といっても、例えば家庭のような結びつきの強いものから、研修会で参加者が名前も知らない人と一緒の集団になったものなど、その関係性の強さ、弱さは様々あります。

学校での内集団バイアスの典型的な例は、高学年女子に見られる「仲良しグループ」が思い当たるのではないでしょうか?

私も高学年経験が多いのですが、女子同士のグループが「平穏無事」ならクラスも上手に回りますが、「対立」しだすと厄介なもので、内集団を優位にしようとするあまり外集団の足を引っ張ろうとしたり、攻撃を仕掛けたりするケースもあります。

このようになると内集団バイアスは、学級経営を悪化させかねない代物となります。

では、そういった内集団バイアスを克服するにはどうしたら良いのでしょうか?

集団間の対立の解決方法を検討した研究によると、全員で映画を見たり、食事をしたりする行為は、対立の緩和には大した効果が見られなかったようです。

一方で、逆に両グループが協力しなければ乗り越えられないような出来事を起こして、解決に当たらせたところ、外集団に対して好意的な評価を行った子供の割合が大幅に増加したということです。

これから言えるのは、ただ漫然と同じものを共有していても意味はなく、解消するには対立している集団同士が協力しなければ解決できないような課題を与えることが有効とされています。

最近では、SGE(構成的グループエンカウンター)、SST(ソーシャルスキルトレーニング)など集団同士を協力させて結束させていこうとするエクササイズが多く出されています。

そういったものを活用しながら、内集団バイアスを克服していくことが学級集団をより強固のものにする近道になるのではないでしょうか?

対立構造の裏には、内集団バイアスと言う認知バイアスが存在していることを心に留めて、学級指導にあたっていただきたいと思います。

読んでいただいてありがとうございました。

(水谷)


 

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